「できた!」を重視すると、「できる」が逃げる?!

できない子ほど、「そんなの簡単、できる」「できるからもうしたくない」と言うのはなぜでしょうか?!

「むずかしいおさるさんもできるようになったよ!」
2歳9ヶ月になった娘が最近よく言ってくるフレーズです。

2ヶ月前くらいに購入した9ピースから20ピースのパズル。予想通り今の彼女の興味にもピッタリはまって毎日のようにやっています。

最初はひとりでやるのは難しく一緒にやっていました。

3回くらいやったら、「ひとりでできる」(やりたい)と言って一人でチャレンジしています。

いつも完成させると、「できた!」といってアピールしてきます。

様子を観られていなかった時は、「もう1回やってみせて!」と言ってみることもありますが、嬉しそうにバラバラにして再チャレンジもしてくれます。

様子を観ていると、「どれかな~、違うね~、違うね~」と一人で言いながら、何度も合うピースを探していました。(見本の絵と見比べてやることもピンとこない感じでした)

何度かやって「分からない」と言うこともあり、「これかな?」と少しヒントを出したりしていると、「できた!」と言って完成させます。

もちろん毎回「すごいね~!」と褒めまくります。

挫けずに何度も飽きずにやって偉いなと思いながらも、次のステップいくヒントをいつ伝えるか? 伝えない方がよいか?と面白がって観察を続けていました。

そしてある時、タイミングをみて、上手にできるようになったことを褒めた上で、

「おさるさんのお父さんどこかな? お母さんどこかな?」と言いながら、
「どこにあるかな?って探しながらやると楽しいね」と伝えてみました。

すると、探し方が変わってきたのです。

「お父さんはここでしょ!」「足はここでしょ!」「赤ちゃんはここで~」「ママはこっちで~」と言いながら、次につなげるピースのイメージをもって探して、はめるということができるようになってきたのです。

全体のイメージをもちながら、個々の詳細を捉えていくという大切な力が育まれます。

冒頭の娘の言葉の意味はこれです。こういうやり方で「できるようになったよ!」とアピールしていたのです。

できた!からと言って、30ピースや50ピースのパズルをすぐに買ったりしなくてよかったなと思いました。

昨日は少し前にやっていた簡単なソフトパズルを久しぶりに広げてやっていました。前とは違う遊び方で、丸と三角と四角を別々に集めておにぎりと言って遊んだり。
簡単そうに見えて、車の形をうまくはめられなかったり。

写真のような状態(一番左)になると、平面的に回転させてもはまりません。立体的にくるんと回転させる必要があります。まだこの感覚は難しく、できる時もあればできない時もあるのだと思います。

この写真は小学生の高学年でも難しがることの多いパズルの一例です。

同様にくるんと立体的に回転させる感覚がないとできないのです。

こういう感覚が身についていない子どもたちも沢山いるのです。(視空間認知を養う経験不足の子がほとんどです)

日本の教育では、「できることを増やして、自信をつけさせよう!」ということがよく言われます。

でも実情は、「できること」ではなく、「できたこと」を増やそうになってしまっているように思います。例えば、鉄棒でも、水泳のクロールでも、足し算の計算でも、国語の文章問題でも。。。

この違いは大きいです。

1回でもいいから、どんなやり方でもいいから、というのが「できた」です。

「できる」というのは、いつでも、どんな状態でも、適切なやり方で成し遂げられることだと思います。

もう1つの大きな違いは、そこに観察があるか?です。

「できる」かどうかの評価、判断をしてあげるためには、大人の観察が欠かせません。

「できることを増やして、真の自信をつけて、自分で考え、行動できる子を育てるためにも」

これからも我が子もスタジオの子どもたちも、地域の子どもたちのこともしっかり観守っていきたいと思います。

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