「鉄棒、縄跳び、跳び箱」が体育の授業からなくなれば、子どもも親も、もっと楽しくなる?!

鉄棒、縄跳び、跳び箱は大人が教えやすい運動。
娘がたまたま興味をもって、やってみたいというので近くの公園で一緒に練習。
できない理由は、運動神経でも腕の力でもなく、恐怖心。
あっという間にできるようになったのは教えるのが上手かったからではなく。教えようとしていないから。

幼児期にとくに必要なのは、教えられる運動ではなく、教えられない運動。

とても長いタイトルになってしまいましたが。。。

(あくまでも私が直接見聞きしたことをもとに、同じように悩んで困っておられる保護者の方の気持ちが少し楽になる一助になればと書いております。)

日々子どもたちや保護者の方々と関わっていて本当に強く思うことです。

日本の体育といえば? といった時にいまだに多くの保護者の方々が答える「鉄棒、縄跳び、跳び箱」

うちのスタジオでもよくご相談いただくのがこの3つに関わること。

「うちの子鉄棒ができなくて。」「うちの子縄跳びができなくて」「うちの子跳び箱が。。。」

その次に続くフレーズが、「このままで大丈夫なのかと心配になります。。。」

特に年長さん~3年生くらいの保護者の方が悩まれているようです。

私はそこで迷わずに、「鉄棒、縄跳び、跳び箱はできなくても全然大丈夫ですよ」とお伝えします。(内申点や学校の成績を気にされている場合は別問題として。)

私も幼少期からサッカーに明け暮れ、大学、大学院でも運動のことを学んだほど運動やスポーツに親しんできましたが、この3つは好きではなく得意でもありませんでした。

それでも運動やスポーツが好きで今でも色々なスポーツを心から楽しんで自分なりに上達しています。

これらの運動は日本の「体育」(たいいく)の象徴だと思います。

少なくとも50年以上変わらず、体育という名のもとに、体を鍛える、体を丈夫にするという要素が強すぎる教科です。体育の時間にサッカーやドッチボールなどのスポーツをすることはあってもおまけのような頻度や内容になっているのが現状です。

仮に体を鍛えるというねらいで鉄棒の逆上がりという課題が必要だというのだとしても、そもそも学校の授業だけではその動きすらできない子が2、3割いる状態で、例えば体を引き上げるための腕力を鍛えることにはつながっていないことは現場の先生が一番理解されていると思います。

さらに問題なのは、体操教室や運動教室でも鉄棒、縄跳び、跳び箱を扱うところが多く、やる目的として「全ての運動の基礎となる運動神経を鍛える」と掲げられることが多いので、保護者の方の多くは、この課題ができないと運動神経が悪くなってしまうという恐れを感じてしまう風潮が強いことです。

(逆にこれらができれば運動神経がよいとという誤解をあたえるのも問題です。)

これらのことを含めて、私が一番よくない傾向と感じているのは、

子どもたちを「できる、できないの二択の判断で苦しめる」ことにつながり、保護者の方もその判断に苦しめられる大きなきっかけになってしまっていることです。

成績表をつけなくてはいけない学校の先生としては、鉄棒の逆上がりや、縄跳びの後ろ跳びなどは「できるか? できないか?」で判断しやすく、評価もしやすいものです。

できない子を評価していないわけではなく、できるようになるまで努力して、できた時の達成感を味わってほしい。という信念をもたれて指導にあたっておられる先生方もきっと多いと思います。

でもその結果として、「できない」を突きつけられた保護者の方は、何とか早くできるようにさせてあげたいと焦ってしまいます。

そのタイミングで、自分では教えられないから上手に教えてできさせてくれる運動教室を探す方も本当に多くいらっしゃいます。

転ばぬ先の杖のように、4・5歳から小1の体育のことも見越して運動教室に通わせる方も多いですね。

一見すると子どもたちのためを思った素敵な流れ、サイクルのように見えますが、実はこのサイクルにはまって小学1年生からの子育てがつらいものになって、悩みすぎてしまう方が多いように思います。

「できる、できないの二択の判断」は、無意識のうちに、「他の子と比べる二択の判断」につながっていきます。最初は我が子のことを純粋に応援する気持ちが、やがて保護者の方自信の不安や恐怖の気持ちに変わっていって、ついつい「なんでこんなに(私が)やってあげているのに、あなただけできないの?」という苛立ちにつながってしまうこともあります。

(もちろん私自身もその一人です。)

子どもたちは大好きなお母さん、お父さんの気持ちや考えをとても敏感に察知します。

自分のせいでお母さんがいらだっていることを感じると、自分ができないことをせめたり、できないこと、例えば鉄棒や縄跳びがますます嫌いになって、体育嫌い、運動嫌いにつながることもあります。

例えば、うちの子は年長さんの時に縄跳びができなかったけど、運動教室に通って上手く教えてもらったお陰で小1になった今では縄跳びはある程度跳べて、本人の自信にも繋がって良かったと思います。お陰で運動は嫌いではないと思います。

という成功体験を保護者の方からお聞きすることもよくあります。

そしてその子とレッスンをしていて、そんなエピソードも話題にしながら、よかったね運動楽しくなった?と何気なく聞いたりすると、「ううん、全然、運動好きじゃない、なるべくやりたくない。」という本音が返ってくることもよくあります。

保護者の方にとっての成功体験になっていても、このサイクルにはまっていると子どもたちの運動を好きになる気持ちを育むことにはつながりにくいようです。

最も重要なポイントは、「できる、できないの判断」がしやすいことを重視せず、「どれだけ前より上手になったか?」を観て、認めて、喜んであげることです。

例えば、鉄棒の逆上がり → できる?できない?と相性がよく判断がしやすい。

でも、塗り絵 → できる?できない?とは普通言わないですよね。そもそも塗り絵が全くできないということはなく、その子なりにどう塗るか?ということからスタートします。なので観ている側も、自然と「塗り絵が前より上手になったね~」という言葉がでやすくなりますね。

「どれだけ前より上手になったか?」の視点は、その子自身にのみ向けられるものです。

他の子との比較なども入る余地がありません。

その子自身の前と今を比べて、その子自身の成長を発見してあげる。

このサイクルを意識して回せるようになると、きっと今より少し子育てが楽しくなって、お母さん、お父さんの気持ちも少し楽になると信じています。

子どもの学校生活が始まってしまうと体育に限らず、「できる、できない」の評価が増えていく一方でついつい焦ってしまい悪いサイクルにのまれてしまいがちです。

お子さんが4歳、5歳のうちから始めることがおすすめなのは、「できないことへの備え」ではありません。

「できないことを受け入れる練習」を始めていきましょう。

そのためにも、お子さんのの過去と今を比べて、成長を楽しむ良いサイクルの練習を始めてみてくださいね。

ビジョントレーニングスタジオ
Sonomono-Coaching(そのものコーチング)

奈良市富雄駅前にあるビジョントレーニング教室

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