福島で原点回帰 「教育の場」の存在意義
2020年最初の出張は、福島県郡山市へ。
「もう一度、指導者の学びの場を復活させたい!」と前職でお世話になった学習塾の指導者の方々に声をかけていただき、年始の決起会も兼ねて講師としてお招きいただきました。
前職で福島に赴任したのは、震災後の2012年。それから丸4年お世話になった忘れられない町。
世間では話題にのぼることが少なくなりましたが、未だに放射能という目に見えないものへの不安と恐怖が残る町。風化させてはいけないと今でもいつも思いを馳せる町。
赴任当時のことは今でもはっきりと覚えています。
「被災を経験していない自分なんかに何ができるのか? どんな顔をして働けばいいのか?」戸惑いや不安しかなかったことを。
毎日のように余震があり、テレビでは天気予報と同じように各地の放射線量状況が流される。
学校でも公園でも外で遊んでいる子どもの光景はなく、洗濯物が外に干されていない現実。
全国ニュースなどの情報がいかに部分的であるかも思い知らされました。
仕事では、とにかく現場の指導者のみなさん、地域の方々のお話を聞くしかないと思いました。
自分には絶対に地域の方々と同じ気持ちを感じることはできない。
でも自分には何ができるかを考えて行動することからは逃げないと決めました。
指導者のみなさんが口を揃えておっしゃったのは、
お金や物資の支援や、色々な方々の直接的な支援には本当に助けられ感謝している。でもこれから前を向いて歩いていくためには、私たちにも「学びの場」が必要なんです。
もちろん「学び」というのは、「子どもたちとどう向き合って、どう指導していけばよいか?」。
子どもたちのことを第一に考えて、子どもたちのためにももっと自分たちが学んで強くならないといけないとおっしゃっているように感じました。
震災を機に、多くの方が県外避難され、子どもたちの数も激減し続けている最中です。
震災直後、子どもたちが来るかどうかも分からないのに、教室を休むことなく開き続けた先生方。
「学校も再開していないので、ここがやっていてくれて本当に有り難い」と震災の明くる日から、子どもを連れてこられた保護者さんが沢山いらしたそうです。
子どもたちの教育を考えた時、絶対に必要なのは「学べる場」。
そして、その場を生きたものにするのが、子どもたちのために「学べる指導者」。
「学びの場」は、子どもたちにも、大人の指導者にも必要なのだと教えていただいたことを思い出しながら。
3年ぶりの地、福島でまた新たなチャレンジをスタートできたことを心から感謝し嬉しく思います。