できさせる指導か? できるのを促す指導か?

昨日もスタジオで学習塾指導者の方向けの勉強会。
わざわざ何度も定期的に岡山からお越しくださるとても熱心な方々。
毎回ながらご質問や疑問にお答えしていく中で、自分自身の指導の言動の振り返りにもなりとても大切な時間となりました。

話題の1つは、指導者が目指すべきは、
①子どもたちに○○をできるようにさせる指導か?

それとも

②子どもたちが○○できるための素地(力)をつけるように導くことか?

この2つの指導の大きな違いは、「主語」であったりします。
①は主語が指導者(大人)。 ②は主語が子ども。

例えば、年長さんの場合。学習塾でいえば、足し算をできるようにする指導であったり、運動教室でいえば、前回りをできるようにする指導であったり。

○○をできるようにしてほしいという親御さんの願いもあれば、それを実現してあげたいという指導者の方もいらっしゃると思います。

私も現場でそのような情熱的な場面を沢山目の当たりにしてきました。

でもその一方で、悩ましい光景にも沢山出くわします。

例えば、同じく年長さんの場合でいえば。足し算はできるようになったのに、引き算はできない。

前回りはできるようになったのに、後ろ回りは全くできない。(自分からやってみようとしない)

もちろん、足し算と引き算には計算としての難易度の違いがあったり、前回りと後ろ回りでも運動としての習得の難易度の違いがあるのは重々承知しています。

それでも何よりも留意しなくてはいけないのは、子どもが自分からチャレンジしようという気持ちや力につながっているか?ということです。

引き算はまた1から教えてもらわないとできない、後ろ回りは教えてもらっていないから自分でできるわけがないと思ってしまったら、いつまでも教えられないとできないままかもしれません。

冒頭の写真は、2歳になった娘のものです。

少し前1歳10ヶ月くらいの頃に、保育園でじゃんけんを覚えてきたので、一緒にグーチョキパーといって遊んでいると、「チョキ」の手をつくるのが難しいことを知りました。(グーパーは上手にできても)

当然写真をとる時の「ピース!」の呼びかけにも、「ピース!」といって嬉しそうに一本指や四本指を立てていました。

4本指で「ピース!」

ビジョントレーニングでも指真似のメニューがありますが、小学生でもかなり難しがるので、指で思い描いた形を作るのはとても難しいことなのです。特にチョキのように、指ごとに違う動きをつくるのはとても難しいのです。

2歳になったころから、チョキ、ピース、2ができるようになりました。(全部同じ形ですが)

もちろん特別なことをしたわけではなく、色々なまねごとなどがより細かくできるようになったなと思ったら、チョキもできていたという感じです。(もちろんたまに3本指になったりもしますが)

同じ時期に興味をもったのが、「箸で食べること」、「ボタンをとめること」。これは指のチョキをつくることとつながっているなと思いました。

言い換えれば、チョキの指がつくれるようになったから、箸もボタンも練習をするのにはちょうどいい時期だなと思ったのです。

予想通り、2つとも急激に上手になっていました。

箸はもちろん補助付きですが、しっかり掴んで口に運びはじめています。

ボタンも大きなものであれば、自分でとめられるようになってきました。

箸を使う、ボタンをとめる。 求められる重要な要素の1つが、「指先を意図通りに動かす」ことです。

チョキの手をつくれるようになる課程を観察していたら、娘はまさにそのジレンマと戦っていました。

2本指のピース! チョキを試行錯誤で自主練中!

何度もチョキを作ろうとして、思うようにいかず、手を眺めながら、自分で考えながら指を動かす練習をしていたのです。

その試行錯誤があったからできるようになった。
その力がついたから、箸やボタンもやってみたいと思ったのだと思います。

これがもし、私が「チョキをできるようにさせよう!」と意気込んで無理矢理にでも何度も練習をさせていたら。。。

自分から箸をもちたい、ボタンをとめてみたいという気持ちや力にはつながっていなかったのではないか?と思うのです。

色々なことができるようになってほしいと願う気持ち、それを応援する指導を否定するわけでは決してありません。

でもそう願うからこそ、応援したいと思うからこそ、我々指導者は子どもたちのどこに目を向けて、向き合っていった方がよいのか?

これからも皆さんと一緒に考えて、成長していきたいと思います。

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