福島で、「足し算」と「目の動き」観察スキル磨き?!
新型コロナの影響が続く中。今回も最後まで開催を悩みましたが、
「こういう時だからこそ子どもたちのために学びたい」という強い思いを受け福島県の学習塾の指導者の方々向けの勉強会 第2弾に伺いました。
前回の1月。ビジョントレーニングの概要、目と脳と体の関係性、実際に学習塾の現場で取り入れられるトレーニング方法などについてお伝えしました。
即ナンバータッチなどのトレーニングを教室全体で取り入れて、学習面での変化も具体的に感じておられる方もいらっしゃいました。
とても素晴らしく素敵なことです。
でも僕はいつも、ここからが本番だと思っています。
新しい情報、方法で終わるのではなく、指導する際の視点、観点が変わり、実践し続ける状態にならないと子どもを伸ばし続けることは難しいと強く実感しているからです。
観点=スキルを一緒に磨いていきましょう! と口癖のように言っています。
今回もいつもように実際の事例動画をみんなでみて、どう観て、どう感じて、自分ならどう導くか?についてできるだけリアルに考えていただきました。
ある事例は年長さん。学習では色々な組み合わせの足し算(横算)にチャレンジ中。
今回は勉強会前日に急遽お願いして、福島のお教室で直接ビジョンチェック(視機能のテスト)もさせていただきました。
写真は眼球運動のチェックで、右斜め上を向いているところ。とても柔らかく上手に動かすことができていました。
もう一枚の写真は、足し算のプリントで、7+3= の問題の答えをちょうど書こうとしている場面。
全く関係なさそうなこの2枚の写真。
実はとても大きく関係しているのです。
でも目の動きと、その子の足し算の力、どういう風に答えを出しているか? 果たしてそれはよい状態といえるのか? などについて関連付けて考えることは指導者にとって、とても難しいことのようです。
例えば今回10人くらいで、この場面を含む10分くらの動画を観て、意見交換してみると。
・目が上下に動いていることがよくあるから、落ち着いていないように思う。
・慌てているから目が動くのではないか?
・ヒントになる上の問題を探しているようだ。頭を使っているから良いことではないか?
・この7+3もそうだが、答えが10以上になる足し算の時にはリズムが悪くなっている。(答えを覚えていない?)
などなど様々な意見がでるのです。
色々な見方があって当然、どれが正しいか分からないと無責任なことをいう人もいますが。
教育の現場で、目の前の子どもの今、これがこの子の今の状態として一番近いのでないか?という答えは探しにいかないといけないと思っています。
(もちろん決めつけではありません。だから何度も様子を観て、指導者は自問自答することが大切なのです)
この子の場合も、
慌てているわけでもなく、落ち着いていないわけでもなく、
終始集中して取り組んでいたことを映像で確認し、解説していきます。
ヒントになる上の問題を見て答えを書いていることも、それが10以上の答えに限らないことなども確認すると見えてきます。
詳細は割愛しますが、
足し算の力もよい感じでついてきていて、眼球運動含めた見る力も高いものをもっているのに「正しい答えを出す(書く)」ことが目的になってしまっている。
もっと学力も能力も高めていくには勿体ない状態というのが見えてくるのです。
この子の「今」の確認ができて、始めて「未来のための」指導、導き方が見えてきます。
この子の集中力、落ち着いて問題を見て取り組む力、ヒントを探す力などをもっと生かして、計算力をもっと伸ばしていくためには、どうアドバイスしたらよいか?
そこまでの提案をして、1事例が終了です。(1事例だけでも2時間近くかかります)
1人ひとりの方の観点、スキルを変えていくのは本当に難しいことなのです。
でも観点が変わると指導者自身が楽しくなることを知っているので、これからも皆さんと一緒にチャレンジしていきたいと思います。
僕自身も評論家ではなく、一人の実践者にすぎないので、
今日からまたレッスンで子どもたちと楽しく向き合っていきます。