スピードを計るコーチと感じるコーチ?

学習やスポーツの場面で、「スピード」はよく話題にあがるフレーズです。

算数の計算を解くスピード、国語で文章を読むスピード、英語の音読のスピード、

50mを走るスピード、マラソン大会で3キロを走るスピードなどなど。

スピードは簡単に日本語でいえば「速さ」ですね。

学習でもスポーツでも、何かをやるのが「速い」と高く評価されるものです。

例えば、計算を解くスピードが速くなると、計算をする力が習熟してきたことが現れていると評価してもらえるのです。

指導者やコーチも、子どもたちや選手に、早く上達してほしいと願い、ついつい「速さ」が気になって仕方がなくなりがちです。

指導の場面でよく見かける光景があります。

計算問題に取り組む生徒の様子をじっくりと観察する指導者。

5分程度無言で観察し、生徒が問題を解き終わるとすかさず、「タイムどうだった?」と

聞く。

生徒がタイムを報告すると、「いいタイムだね、大分計算が速くなってすごいね」と褒める。

とてもす~っと耳に入ってくる一連の流れです。

でも私はこういう時にいつもこそばゆいような違和感を感じます。

生徒はもちろん努力して凄いと思います。

気になるのは指導者の子どもを観る観点です。

目の前の子どもの何を観るか?感じるか?

解いている様子を観て、「この感じはいいな、よいリズムでできているな」と感じることができたら、それが何よりも大切なことではないでしょうか。

解く、スピード、タイムについても、「解いている感じ」から予想がつくようになるのが

本来の姿のような気がします。

この感じで解いているなら、タイムもこれくらいかな?という「あたり」のようなものがついてきます。

長距離走のコーチが、ストップウォッチを見なくても、選手の走っている様子をじっくり観て、「いいぞ、いいリズム、その調子」と言ってあげられるのと同じだと思います。

私はそういう指導者、コーチは指導力がある人だと思います。

タイムという物理的なもの、結果として提示されるものに頼らずに、その子、その人の今の動き、様子そのものを観て、感じ取るスキルがあるからです。

こういう人に観てもらって取り組む子どもたちは、自分の動きや様子そのものを見て、感じることができるようになるのだと思います。

「なんかこの前よりもいい感じで動けているぞ、このリズムはいい感じだ」とやっている最中に自分の調子や出来映えを感じられるようになってくるのです。

そうなれば、例え結果としてのタイムが良くても、悪くても、次に何を頑張ればよいのか?自分で課題を見つけることができていくのだと思うのです。

ビジョントレーニングでも、スピードを含めた成果は問われるのは承知していますが、

本来観るべき、子どもたちがかすまないように、こちらのビジョンをもっともっと鍛えていきたいと思います。

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